その時、目黒館林研究所の大型コンピューター『優子』から連絡が入った。
テレビ画面が優子の顔へ切り替わり、画像が映し出された。
連絡内容を要約すると
①東京湾沖(公海上)で潜水艦らしき姿が3隻浮かんでいること。
②今回の『ドリーム号』は日本へ寄港する予定にはないこと。
③南シナ海方向より、国籍不明の大型船舶3隻が日本へ向かっていること。
④研究所職員犬神獅子男の記憶から、東京への攻撃の可能性が高いこと。
⑤仮に潜水艦、大型船舶、クルーズ船が同じ目的の場合、
東京都だけでなく横須賀基地への攻撃も可能性があること。
⑥東京都・神奈川県内の自衛隊基地所属隊員の不穏な動きにより命令系統に乱れがあること。
我々としての対抗策として
①上陸阻止作戦
②対ミサイル防衛作戦
③敵艦殲滅作戦
④敵の兵力(ミサイル、機械化兵ほか)への対応
優子が各々のシミュレーションを映し出していく。
ただし、新兵器の可能性も高く、無傷の勝利は困難だった。
今後、情報収集に努めると共に想定外の事態にも対抗策を練る必要があった。
その画面が消え次第、都倉警部へ急いで連絡した。
30分後に都倉警部が事務所へ顔を出した。
この情報を聞き、現在政府もアメリカからの情報を元に準備に入っているが、
自衛隊情報を聞いたのは初めてのようで驚いている。
日本が攻撃を受ければ日米が連携をし、敵を殲滅する訓練はしてきているが、
攻撃されている訳でなく、何の声明も出されないため、じっと待つだけであった。
そして、自衛隊内部では想定外の隊員の造反で命令系統は寸断されている。
考えもしなかった事態であるため、当然NSCが開催されているが、
ただ時間だけが浪費されるだけで何も決定されなかった。
江戸幕府が出来て以来、国家防衛の任を受けている館林家と桐生家頭首へ
日本国を代表するさる方より、『防衛出動』の指示が下された。
両頭首は連絡を取り合い、情報の確認と整理、優子の立てた作戦の検討に入った。
未確認情報も多いため、現場での実践部隊の判断に任せることとしてとりあえず、
まずは両一族の武闘派へ東京港湾部への移動を命令した。
敵の上陸地点ははっきりしないが浦賀水道両岸では広過ぎるため迎撃は困難であり
羽田国際空港では他国の観光客へこちらの戦力がばれる恐れもあるため
東京都への海路の入口にあたる大井埠頭の城南島海浜公園中心に各所へ散会している。
葉山・目黒館林研究所、桐生科学研究所から両一族への最新兵器の投入が計画されている。
そして、普段は闇に隠れているが都の霊的な守りを固めるために
桐生一族「狐派」が関東圏全体へ散り、関東圏全体に結界を張る準備を始めた。
(つづく)