はっちゃんZのブログ小説

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49.函館観光3-恵山岬-

翌朝、早く目覚めた慎一は、一人で露天風呂へ入り朝日の昇る津軽海峡を見つめた。

しみじみと露天風呂が部屋に付いている良さが感じられる。

温泉につかってさわやかな海風に吹かれながら

昇る太陽の光を受けていると今日一日のエネルギーが湧いてくる。

しばらくしていると子供達の声が聞こえてきたので部屋へ戻った。

それと交代に美波が露天風呂へと入っていく。

静香は、子供達に服を着せて慎一へ任せながら部屋を片付けていく。

 

朝ご飯はバイキングコース。

イカコーナーでは朝採れの『イカソーメン肝和え』が目の前で作られていく。

半透明の細い切り身がまだ少し動いている。

心地良い歯応えと肝の甘さに生姜醤油が良く合っている。

ついついお酒を飲みたくなる程の美味しさだった。

その他和食としては、甘辛い地魚のアラ煮にアラの味噌汁などが盛り沢山だった。

みんなお腹いっぱいになったのでホテルを出発した。

 

ドライブ好きの慎一は、こちらへの異動命令が出てから、

ずっと『北海道の岬巡り』を考えていて、札幌への帰り道に

たぶんなかなか来ることはないであろう恵山岬を今回は目指すつもりだった。

函館近隣のもう一つの岬である白神岬へは別の機会に回ることとした。

白神岬は北海道南部の大部分を占める渡島(おしま)半島の北海道最南端の岬である。

函館市から津軽海峡沿いに西へ走り日本海側へ回るコース上にあり、

江戸時代から長い歴史のある松前町、日本海に浮かぶ奥尻島を横目に見ながら江差寿都、岩内、余市、小樽へ向かうことになる。

途中から八雲町やせたな町から内浦湾へ向かい高速道路に乗って帰ることもできる。

 

函館市内を抜けて国道278号線を海岸沿いに走ると

途中に「道の駅 なとわ・えさん」がある。

ネットの説明では、この駅名の中の「なとわ」は、道南地方の方言で「あなたとわたし」を意味している。目の前には津軽海峡、遠方には活火山の恵山を望むことができ、物産館には、ホッケ、タラ、ウニなどの魚介類や、黒口浜真昆布を使ったコンブ巻などの特産品が並んでいると記載されている。

この駅は函館と主要都市を結ぶ幹線道路からは離れているため、

客は少ないのではないかと思っていたが意外に駐車場には車が多く停められていた。

物産館に入って先ず目に入るのは、

「大量の名産品の昆布」の棚と「昆布ソフトクリーム」の幟。

ここしかないとの事で、早速ソフトクリームを頼む。

そっと口に含んでみると、昆布の粒入りで少し塩気が効いていて、

ベースとなるミルクも濃厚で甘味と塩味がバランスの取れたスウィーツだった。

お土産の昆布を買って車に乗り込んだところ、

突然駐車場の隣の車の老夫婦から声を掛けられた。

こちらの車のナンバープレートは神戸となっているため、関西出身の老夫婦は懐かしくなって声を掛けてきたらしい。老夫婦は数年前に夫の定年を機に、函館市へ定年後移住してきたそうで、清清しい空気、美しい自然や新鮮な海産物の好きな夫婦には格好の街と映っているようで、自治体としても移住に関しては積極的な対策をうっている。

 

しばらく海岸線を進んでいくと、活火山恵山のある恵山岬の看板が出てくる。

恵山は、ネット情報では標高が618mの気象庁による常時観測対象の活火山で、

その荒々しい山容や溶岩、噴気の様子から古くから信仰の対象となっており、

下北半島の恐山と並ぶ霊場ともなっているらしい。

函館からつながる278号線を北上して西側から回りこみ、

函館市新浜町椴法華から右折し231号線へ向かい、

太平洋を左に見ながら南下していくと「恵山灯台公園」の看板が見えてくる。

278号線を北上して西側から回りこみ、函館市新浜町椴法華から231号線へ向かい、

太平洋を左に見ながら南下していくと「恵山灯台公園」の看板が見えてくる。

近くには太平洋を望むカジュアルな温泉ホテル「ホテル恵風」があり

突き当りには、開放感満開の景色抜群の干潮時のみの入浴可能な温泉「水無海浜温泉」がある。

やがて恵山灯台公園の入り口が見え、駐車場から灯台へと向かった。

絨毯のような綺麗な芝生に囲まれた真っ白の灯台で、真っ青な太平洋が眼下に広がっている。

併設されている公園には子供が遊べる遊具もいくつかあったため子供達を遊ばせている間、慎一は灯台周辺を散策した。

夏の強い日差しは感じるが、頬へ吹き付ける風が涼しく気持ちよかった。

崖の上に立つと今はおだやかな津軽海峡の蒼さが目に入ってくる。

公園内に「函館市灯台資料館」があったが、今は閉館されているようで残念だった。

しばらくして、札幌への帰路に着いた。

(つづく)