はっちゃんZのブログ小説

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15.淫獣1(第8章:占い死)

クモ助から情報が送られてきた。
ある時、木村千種党首から鷹へ博愛民主党永源代表の事で相談事が寄せられた。
最近、博愛民主党の永源代表が、食事の誘いなど色々と千種へ秋波を送って来ている。
情報収集のためもあり仕方なしに何度か付き合っているうちに、
最近ではホテルの部屋を予約しているとか言い出している。
最初は党首の千種だけだったが、次々に令和獅子党議員へ声を掛け始めている。
世界の潮流でもある様に日本の政治家は女性の数が少なく世界から批判されている。
博愛民主党代表の永源としては、女性の政治家の数を増やすために女世議員ばかりの令和獅子党を吸収しようと考えているのだろうと思っていたが、どうやらそれだけでなく己だけの下部組織として令和獅子党の党首を始めとして若い女性議員や議員の卵達の身体を狙っている雰囲気があるのだった。

その頃、最大野党博愛民主党代表の部屋で皮張りの立派な椅子に座り、
マホガニーの大きな机の上に短い足を精一杯延ばして乗せ、
ガマガエルの様な醜い身体を踏ん反り返らせて永源は葉巻を吸っていた。
目の上のタンコブだった同期でライバルの武藤議員に死んでもらって
自ら待望の博愛民主党代表へとなった永源代表は得意満面だった。
裏の情報では、どうやら愛人の上で腹上死をして、
あろうことかそれを糞蠅の様なゴシップ専用の三流記者に嗅ぎつけられて、
口止め料を含めてニュース差し止めに党として裏金を相当に使ったようだ。
政権与党なら怒鳴り上げて組織を使って脅し上げてしまえば済むのだが、
与党を批判する野党の立場で与党と同じことをすれば、
今どきはその糞蠅記者が自爆覚悟で世間へ暴露され、
そいつが世間から英雄として認識されてしまい、
結局は野党としての立場が無くなり、大幅に国民から支持を失うので仕方なかった。
現在の永源は、左翼マスコミに新しい野党の顔としておだて上げられ、
公約通り各街にある博愛民主党事務所前に「目安箱ポスト」を設置し、
どんな小さな国民の声も国の政策へ提言していくと発言し、
『現代の水戸黄門』に続き『ネクス暴れん坊将軍』と呼ばれた。
その目安箱に宗教二世・三世問題から新興宗教への監視強化や課税化が投稿され、
最大野党として「新興宗教の監視強化」を与党へ提言していくこととなった。

永源はこのたびのシシトー神の館での占いを後悔していた。
知り合いの政治家にその神託の正確さを聞いて興味津々で占いをして貰い、
面白半分で色々と占って貰ったらそれが結構正確で驚いたものだった。
その後、彼らが政治団体を立ち上げると聞いて、
政治団体が成功した後の議員の吸収と政治資金や票田を考えて特別会員となった。
最初は、神託通りに武藤が亡くなって自分は代表になれたが、
よく考えたらシシトー神の館の神託だけで、彼らの神が武藤に何かしたわけでもない。
にも関わらず思わず大切な政治資金の一部を渡してしまったことを後悔していた。
寄進として領収書は貰って無いので永源が大金を渡した証拠は無かったし、
教団の方からもキリが無いので寄進の記録はしていないと言われている。

永源は今夜も令和獅子党の党首とは会食を予定している。
野党間の宗教政策の調整と打ち合わせで宗教法人としての立場を聞くと言う名目である。
永源はそろそろ元アイドルだったこの女を自分の物にしてしまおうと考えていた。
ちょうど中学時代に好きだった女の子と良く似ており、
気が強そうな表情とスーツを持ち上げる程の巨乳が彼の好みだった。
永源は昔から良く権力に物を言わせてクラブの女などを愛人にしてきている。
いくら誘っても嫌がる場合には卑怯にも睡眠薬などの薬を使って犯した。
彼女たちは犯されたら諦めて金を貰って彼のモノになった。
そして飽きたら余分に金を渡して、別れる事を嫌がれば全裸写真をばら撒くぞと脅した。
彼にとってその女達とは全てが違う女が令和獅子党の木村党首だった。
元アイドルだけあって磨き抜かれた肌にいつまでも可愛い顔、
細いながらもしなやかで肉感的な身体、普段は芯の強そうな目つきだが、
何かの拍子に見せるその儚げな眼つき、表情、仕草は彼の嗜虐性を刺激した。
『あの女を思うまま凌辱して俺の物にしたい』とどす黒い欲望の炎を燃え上がらせた。

永源の妻は、永源が秘書をやっていた議員の一人娘で、
選挙事務所の責任者からは『姫』と呼ばれて贅沢の限りを尽くしている。
どんなに永源が必死でがんばって博愛民主党内で偉くなっても
「あなたの力で議員になった訳ではないわ。
 所詮低学歴で見映えも悪くただ順従だけだったのあなたには無理だったわ。
 父はそんなあなたに憐れみを掛け、
 一人娘である私には一切逆らわないと考えてあなたを婿にしたのよ。
 亡くなった私の父があなたを議員にしたようなものだから感謝しなさい」
「この地盤に必要なのは私の血筋。別にあなたでなくても良かった。
 あなたの価値は単なる種でしかないことを知りなさい。
 お父様と私のおかげで議員になれたのだからよく肝に命じなさい」
と女王様然として永源を馬鹿にして一切褒めることも無かった。
仕える先生からの指示ではあったが、
永源は常日頃憧れていたお嬢様だと舞い上がって結婚した。
しかし結婚後の生活と言えば、見た目とは裏腹に男遊びに慣れた女で
結婚後もその関係は切れる事無く、常に馬鹿にされ抑えつけられ、
誰との子供ともわからないが息子と娘が出来てしまえば夫婦の会話も無くなった。
子供達も父親を父親とも思わず馬鹿にしており相手にされていなかった。
妻は一人息子を溺愛し父から続く議員のこの地盤を継がせることや
一人娘を有力な政治家へ嫁がせることしか考えていなかった。
永源も外で愛人を作り遊んだが既に荒んだ心はより深く黒く荒んで行った。

今晩の夕食は博愛民主党と仲の良い野党の代表者が集まって
今後の選挙について話し合いをするという名目で
都内のホテルの会議室付き貴賓室が用意されている。
実は、その日に来る野党の代表者は令和獅子党の木村党首一人だけで
その時にみんなが都合がつかなかったという事にして
永源は二人だけで夕食を食べようと考えているのだった。
もちろんいつもの様に最初に出される高級ワインには睡眠薬が入っている。
その睡眠薬は常用量なら服用して10分後くらいで意識を失う程の強力な物である。
永源の秘書の高山はスマートにホテルから届けられた料理を並べていく。
徐々にワインや料理に入る睡眠薬の量が増えていく予定だった。

やがて予定時間が近づいてきて木村が部屋を訪れる。
「こんにちは、本日お招きいただきありがとうございます。」
「おお、木村さん、今日はありがとうございます。いつもながら美しいですね」
「過分なお言葉をありがとうございます」
「今日は後の人が若干遅れると聞いていますので
 先にワインでも飲んで料理を食べてしまいましょう」
「いえ、私は新人ですから皆様先輩の先生方をお待ちします」
「大丈夫です。みんなは仲間みたいなものだから何も思いません。
 まあそんなに硬くならず先ずはワインでも飲んでください」
「今日の打ち合わせはどうされますか?」
「ええ、政治家の打ち合わせは料理を食べながらというのが普通ですから
 まあどうぞどうぞ、しばらくしていれば皆さんが来られると思います」
 おい高山、木村先生へお注ぎしなさい」
高山がニヤニヤしながら木村のワイングラスへ真っ赤なワインを注いでくる。
「木村さん、これは30年物のビンテージワインでして、私の好きなワインです。
 ぜひともご賞味下さい。さあ乾杯」
「私はまだ若輩者ですからワインはあまりわからないのです。
 はい、ではお言葉に甘えまして・・・」

ワインを飲み豪華な料理を食べていくうちに木村は意識を失った。
料理の並べられた食卓へ俯せに眠っている。
その手からワイングラスが絨毯が敷き詰められた床へと落ちる。
「先生、もう寝ましたぜ」
「高山、わかってるな?いつもの様に奥の部屋へ運んでおけ。
 そしてお前はもう部屋から出て行け」
「はい、わかりましたよ。
 しかし、この女、さすがは元アイドル、良い女ですね。
 私も一度はこんな良い女と経験したいものですよ。
 先生は本当に羨ましい」
「お前には十分にお金を渡しているだろ?
 お前は水商売の女とやってればいいんだ。
 わしもこんな元アイドルでこんなに綺麗な女は初めてだ。
 わしがもし飽きたらお前にもさせてやるからな、楽しみにしておけ」
「へい、期待せずに待ってます」
「さあ、早く奥の部屋へ運べ。見ておくから変な事はするなよ」
「はいはい、本当にケチなんだからせめて匂いでも嗅ぎたいのに」
「駄目だ。早く連れていけ」
秘書の高山が眠っている木村を横に抱き上げると奥の寝室へ運んでいく。
その後をついていく永源は、ニタニタとネクタイを外しながら
獲物を見つけた猛獣の様な表情で舌なめずりをしている。
木村は可愛いあどけない表情で眠っている。
やがて秘書の高山が横抱きした木村の小柄な体をベッドへ横たえる。
「高山、早く出て行け。きちんと鍵をしていけよ」
「わかりましたよ。シャワーも浴びないのですか?」
「その方が生身を味わえるし、シャワーは終わった後で入ればいい」
「へいへい、もうお邪魔しませんよ。では失礼します」
と高山は寝室のドアを閉めるとしばらく寝室のドアに耳を付けて聞いていたが、
何も聞こえてこないため、舌打ちして名残惜しそうに部屋を出て行った。