はっちゃんZのブログ小説

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16.レッドシャーク団との戦い2(第7章:私の中の誰か)

拳銃の発砲音と同時に紅凛は、副首領のディック高橋とクリス松本の部屋へと近づいていく。部屋の中からは二人が起きて準備している音が聞こえてくる。『黒狼にしては、えらく派手だねえ。催眠ガスが効かないかねえ』『もしかしたら人を操ると言っていた術が…

15.レッドシャーク団との戦い1(第7章:私の中の誰か)

※これからは残酷なシーンがありますので注意してください。 『レッドシャーク団』の幹部の男女4人と数名の組織員は、東京湾に停泊しているとある東南アジアの国の小型コンテナ船へ隠れていた。夜中に偶然上田のユーチューブを観たクリスが急いで赤城へ連絡…

14.霧派始動(第7章:私の中の誰か)

ある夜、紅凛《あかり》と黒狼《くろう》と遼真と真美は、上田邸の近くに居た。広い庭に数頭いた番犬もいつの間にか眠らされている。寝室へ流された睡眠ガスで上田の両親が深い眠りについた頃二人は動き始めた。寝室内の天丸からの画像を確認して、普通に玄…

86.秋の道東旅行3(摩周湖・屈斜路湖にて)

まだ十分に陽も昇らない内にホテルを出発する。今日のコースは計画より時間が早く進んでいるため最初に摩周湖を入れた。屈斜路湖付近の摩周湖・硫黄山・砂湯・美幌峠で観光し屈斜路プリンスホテルで泊まる予定である。最初に行く「摩周湖」と言えば歌にもな…

13.霧派桐生紅凛と黒狼の登場(第7章:私の中の誰か)

京都の祖父、狐派頭領令一から連絡があった。一族で話し合った結果として最終的に、この事件の顛末は表には出さずに闇に葬ることとし、霧派と狐派共同でこの事件を解決することになったとのことだった。霧派は、桐生一族の中で表には出ず暗殺や誘拐などを主…

12.捜査3(ハングレ組織、狂次の情報)(第7章:私の中の誰か)

遼真は、上田の捜査を殆ど終えハングレ組織『レッドシャーク団』の捜査に入った。この組織の事務所は、瑠海の記憶にあった大きな倉庫の中にある。やはりこの倉庫の登記は『GDコーポレーション』という関東でも有数のヤクザ組織『外道組』の物件だった。奴ら…

11.捜査2(上田の情報)(第7章:私の中の誰か)

瑠海へ偏執していた男の名前は、「上田武知也」。25歳無職。警視庁幹部の息子。上田の実家は吉祥寺駅から少し離れた場所にある大きな屋敷だった。その広い庭には3頭のドーベルマンが番犬として放たれている。恵理那が話した上田の警察官に捕まった話や調書の…

85.秋の道東旅行2(阿寒湖湖畔にて)

阿寒湖の湖岸にいるたくさんの観光客が目に入って来る。本日の宿泊ホテルの「ニュー阿寒ホテル」へチェックインして荷物を預けて外出する。先ずは「阿寒湖遊覧船」へ向かう。ちょうど出航する時間で定期便航路一周約18キロ85分コースのチケットを買い乗り込…

10.捜査1(友人恵理那)(第7章:私の中の誰か)

遼真は、瑠海の和御魂と荒御魂から念写された多くの写真を見ながら捜査に入った。瑠海の事件は、転落現場付近に監視カメラも無く普段人通りも少ない場所で目撃証言も瑠海を見つけたサラリーマンだけだったため、警察では転落事故として処理されているらしい…

9.霊査3(木村瑠海の悲しみ3)(第7章:私の中の誰か)

粉雪の舞う冬のある日、主治医の先生から父母へ「あの、実はあるご提案があるのですが・・・」「!!!先生、何ですか?もしかして瑠海が助かるのですか?」「いえ、残念ながら、もうそれはありません」「・・・???」「実は、お嬢さんがこのカードを持っ…

84.秋の道東旅行1(丘珠空港から阿寒湖へ)

北海度ではお盆も過ぎ朝晩も涼しく感じてくるとそろそろ街の人々も紅葉シーズンの訪れを意識するようになる。道庁前の広場では例年通り北海道内にある市町村の特産品展が開催されている。いよいよ海川山大地のあらゆる食材の旨味が深くなる季節の訪れだった…

8.霊査2(木村瑠海の悲しみ2)(第7章:私の中の誰か)

その男は、古い大きな倉庫の中に居た。倉庫の大きな扉には「GDコーポレーション」と会社名が書かれている。その中は広く奥には部屋や机や椅子があって、机や椅子の周りには釘の打ち込まれた角材やバットなど危ない物が転がっている。一目見て柄の悪そうな恰…

7.霊査1(木村瑠海の悲しみ1)(第7章:私の中の誰か)

幼い舞華を苦しめていた荒御魂を宿し黒く変色した人形《ひとがた》”は、現在、祈禱所内でも慎重に何重もの結界を張った場所へ安置している。遼真と真美は帰宅すると慌ただしく祈祷所へ入った。今回の荒御魂は恨みなどの負の感情のみで出来ているため、その荒…

6.舞華の笑顔(第7章:私の中の誰か)

遼真はすぐさま浴室へ入り水垢離をして身を清め、祈禱所では智朗さんと一緒に” 荒御魂分離修復術”の準備を進めていく。やがて遼真から真美へテレパシーで『真美、こっちは準備できたよ』と伝えられた。真美の部屋の香炉には、今朝から心を沈静させる成分が入…

5.臓器の記憶(第7章:私の中の誰か)

ここで移植された臓器が本当に記憶を保持しているかどうかであるが、これは都市伝説ではなく実際に研究もされているし、世界でも数そのものは非常に少ないものの実際に報告されている現象である。 臓器移植と記憶に関しての興味深い論文と事象に関して、イン…

4.舞華の悪夢(第7章:私の中の誰か)

夜が徐々に更けて行き、真奈美のお友達の真美が泊まることで大喜びで色々と遊んだ舞華の瞼が重くなってきた。でも楽しい時間を少しでも過ごしたい舞華は頭を振ってでも起きている。しかしその努力も空しく、とうとううつらうつらとし始めた。真奈美がそっと…

3.真美の友人の悩み(第7章:私の中の誰か)

都内でも有名な私立女子高校へ通う真美には多くの親しい友人がいる。その中の一人に医師の父を持つ工藤真奈美がいた。彼女には難病で幼い頃から入院している末の妹がいる。妹の名前は、|舞華《まいか》。年齢は7歳。|舞華《まいか》は、難病の”特発性心筋症”…

2.多摩湖の桜吹雪(第7章:私の中の誰か)

前回と同じように多摩湖関連の神社へ参拝し、多摩湖に着くと、以前の様にボートへ乗って二人で湖の真ん中へと進む。やがて二人の乗ったボートの周りに霧が立ち込め始める。そっと水面へ日本酒を注ぎ込む。「おお、遼真に真美、久しぶりだな。うーん、これは…

1.遼真の背中(第7章:私の中の誰か)

迷い里事件で受けた真美の額の傷も癒え、よく見ないとわからない様な小さな痕だけになった。毎日徐々に陽射しが暖かくなり、神社の木々にも若芽が芽吹き、街の花壇の中にも小さな花々が顔を出し、道路沿いの桜も芽吹き始めている。そんな春の日々、遼真はこ…

5.遼真覚醒、そして母は(第6章:母と共に)

母の肩から流れる血が遼真の額に滴り落ちた時、遼真の瞳が明るく大きく金色に輝き始めた。「明王様、何卒母様を守るため私に力をお授けください」と叫んだ。途端に魔物の首に紐が絡んだ様な跡が入り始めた。遼真の念力だった。『グッ、グワッ』魔物は首に手…

4.襲撃(第6章:母と共に)

やがて社殿正面の深い白い霧の中から『ペチャ、ペチャ』濡れたヒレで歩く音が聞こえてくる。その数は1匹や2匹では無かった。そしてその音が消えた。八重は急いで多くの霊糸を周りの空間へ張った。八重の心臓の鼓動が早くなった。遼真の見ている風景が脳裏へ…

3.深き淵に潜むモノ(第6章:母と共に)

それは川の深い淵に潜んでいた。それは己の解放された森への何者かの接近が感知できた。すぐに水面を使って、神社の手水舎から森にある神社の境内を見つめた。そこにいたのは、己に危害を為す可能性のある力を持つ母子であった。それはこの母子の顔を覚えた…

2.怪事の始まり(第6章:母と共に)

最近日本中で地震が増えて来ている。以前の阪神淡路大震災や東日本大震災ほどではないが、毎日の様に日本のどこかでグラグラと揺れており、地震についてテレビで報道しない日は少なかった。今まで少なかった北海道西部や青森県西部、京都付近もたびたび揺れ…

1.遼真と母(第6章:母と共に)

桐生遼真は、2002年春、東京都目黒区にある神社の長男として生まれた。父の名前は、桐生龍司《りゅうじ》、母の名前は八重《やえ》。父は狐派次期頭首候補であり、父母ともに多くの特殊能力を持っていた。 遼真は生まれた時から身体も大きく母八重の母乳をた…

9.遼真の後悔(第5章:真美を救え)

桐生一族京丹波家狐派頭領の令一は、石像とその根元の悪心坊が埋めた木片を共に京丹波家の方へ持って帰った。萩原マリコは、事件に関する記憶を消して部屋まで送って行った。マリコの部屋の中は、既に子供のいた痕跡は無かった。その後、風の噂で萩原マリコ…

8.すみれ、決別の涙、そして(第5章:真美を救え)

自縛陣に横たわるマリコの側に、すみれの霊魂が心配そうに立っている。母親の元に行きたくとも自縛陣の中へは入れなかった。じっと母親の姿を見ている。「ママ、どうしたの?」「・・・?」「わたしは、すみれよ、ママ、ママ・・・」すみれはすでに気付いて…

7.十字路の悪霊(埋められた呪詛)(第5章:真美を救え)

猿野花(さのか)の霊へ「4人の人間の命と引き換えにお前の子供の命は蘇る」と伝えた法師の正体は、夢乃さんの術で明らかになった。その男は、”悪心(おしん)坊”と名乗る鞍馬山を訪れた修験者の一人だった。”悪心》坊”という男は、金持ちと見れば何やかやと…

6.怨霊、猿野花(さのか)の物語(第5章:真美を救え)

白猿がさらってきた女性マリコは、高い木の枝に不安そうに座っている女の怨霊が憑依している女性マリコへ頭領の令一は、“遠当て”を使った。『ハッ』マリコの身体が強くはねて、胸に子猿の像を抱いたまま突然意識を無くして落下してきた。一族の者が数名下で…

5.白猿(びゃくえん)との戦い(第5章:真美を救え)

『きゃあ、あっちに行って。こっちに来ないで。いやー』突然、真美から悲鳴が送られてきた。『真美、どうした?』『赤い涙を流した怖いおばちゃんが私に入ろうとしてるの』『えっ?真美に?』『いやー・・・』『真美、真美、どうした。返事しろ』それ以降、…

4.遼真、真美を発見(第5章:真美を救え)

遼真は、確実に強くなる真美の痕跡を探りながら鞍馬山の麓へ着いた。その痕跡は登山道から離れ”獣道”へと続いている。頭から尻まで白い鬣《たてがみ》を持った妖怪猿はこのコースを移動したようだ。だが、ここまでくるともう”獣道”を歩く必要もなく、今居る…