小説3:さざなみにゆられてー北海道編ー
2002年11月15日は金曜日のため、翌日の土曜日16日に北海道神宮で七五三参りをすることととした。写真屋と北海道神宮へ当日の撮影と七五三参りの予約をした。満年齢でも良かったのだが、二人とも身体が大きくなって足元もしっかりとしてきているので何事も早…
朝夕の風も冷たくなってくると北海道は、これからいよいよ冬へと向かい始める。慎一は子ども達も2歳となり、そろそろ遠出も可能と考えて9月14日は「コスモスの日」のため、九月中旬に少しだけ遠出を計画した。行き先は旭川市とオホーツク海に面した紋別市や…
帯広名物の豚丼を食べて、次に向かう前に 美波は「クランベリー本店」へ向かってくれるようにお願いした。 この店は1972年の創業の歴史ある店で「スイートポテト」が有名だった。 さつまいもを蒸して、半身となったさつまいもを厚めの皮だけを容器にして さ…
道東道から見える帯広市のある十勝平野は雄大だった。 見渡す限り地平線がずっと続いている。 美波の生まれた米子は非常に古い昔から街道の町として発達してきたが 北海道は先住者のアイヌ民族の人々が開いた街は別として 現在発達している街は、明治以降に…
少し大きめの鞄を持って待ち合わせ場所までの下り坂を歩く。 吐く息も白くなり小樽の朝はもう秋の気配だった。 9月入ると北海道は暑かった夏の気配が瞬く間に去り 次の季節への移り変わりの気配が濃厚になる。 その冷たい空気が美波の少し寝不足の目には気…
北海道はお盆を過ぎると急速に日差しが弱くなり肌に当たる風が冷たくなり始める。 そして夏休みが終わる9月になると朝夕は10度以下の日も出始める。 日中でも20度は越えなくなり、街を歩く半そでの人も激減してくる。 近くの山々からは急速に緑が失われてく…
その夜、慎一達が眠ってから、母が美波へ声を掛けた。 「美波、お昼会った前田さん、優しそうな人だね」 「そう、何かあればサークルのみんなが彼を頼っていて大変だったみたい。 彼は頼まれたら絶対に断らない人だから」 「そうなんだ。色々と小さい時から…
望羊中山で目的の揚げ芋を買って2階の休憩スペースに座る。 揚げ芋は1串にこぶし大の揚げ芋が3個刺さっており300円。 手に持つとずっしりした重さ、 噛むと外はカリッとして、中の生地はフワッとしている。 見た目のボリュームはあるが、 ホクホクのジャガ…
熊牧場としては「登別市の熊牧場」を知っていたが、 今回は近道の豊浦から札幌市へ向かう道を予定しているため こちらの「昭和新山熊牧場」を見ることにしていた。 牧場の構成は、 「こぐま牧場」 「若くま牧場」 「大牧場」 「くまのアパート」 「あらいぐ…
恵山岬からは北上して内浦湾を右手に見ながらひたすら進む。 ネットでは、この内浦湾は渡島半島の基部東岸、室蘭市のチキウ岬及び駒ヶ岳北東麓の岬に囲まれた、直径約50kmのほぼ円形の海域で湾口の長さは約30kmである。別名として噴火湾ともいわれる。この「…
翌朝、早く目覚めた慎一は、一人で露天風呂へ入り朝日の昇る津軽海峡を見つめた。 しみじみと露天風呂が部屋に付いている良さが感じられる。 温泉につかってさわやかな海風に吹かれながら 昇る太陽の光を受けていると今日一日のエネルギーが湧いてくる。 し…
函館山からの夜景を見て、 その光景を惜しみながらも急いでホテルへと向かう。 夜景観光を念頭に遅めの夕食を予約しているので食事が楽しみだった。 今夜宿泊する「湯の川プリンスホテル渚亭」は、 露天風呂付きの和室で今までのホテルとは違っている。 温泉…
宿泊したラビスタ函館ベイの前を通過し、「金森赤レンガ倉庫」に着いた。 ネットでは、この倉庫は明治期に建てられたもので、現在倉庫群を利用したショッピング&食事スポットとして人気と書いてある。確かに多くの観光客が歩いており、祭り期間中でもありど…
ねぶた祭り2日目の朝、JRで青森駅から函館駅へ向かう途中、 「竜飛海底駅」に降りて観光することにした。 見学時間は2時間30分。 駅に到着し、車掌さんが非常コックを使いドアを開け、 緑のジャケットを着たガイドさんに続いて観光客は降りる。 ホームに降り…
ねぶた祭りについては、青森ねぶたオフィシャルサイトの紹介では以下である。 七夕祭りの灯籠流しの変形であろうといわれていますが、その起源は定かではありません。奈良時代(710年~794年)に中国から渡来した「七夕祭」と、古来から津軽にあった習俗と精…
「三内丸山遺跡」を後にして「棟方志功記念館」へ向かう。 近隣のパーキングに車を停めて記念館へと入って行った。 棟方志功氏は、『おれは日本のゴッホになる』と言って有名になった、 板画家で20世紀の美術を代表する世界的巨匠の一人とされている。 青森…
ナビに「三内丸山遺跡」と入力して出発する。 青森駅から大体15分くらいの場所にある。 青森駅から浪館通りを南西に進み、青森県総合運動公園の北側を道なりに進み、 県立美術館建設予定地を過ぎると遺跡が見えてくる。 【三内丸山遺跡】は、昨年より特別史…
朝ご飯のあと、ゆったりとしてからチェックアウトして、 函館駅近くのパーキングに車を停めて荷物をまとめる。 函館駅から青森県に上陸して青森駅まで向かうつもりだった。 函館駅構内は港祭りの観光客でごった返している。 子供達をベビーカーに乗せて静香…
花火が終わり、部屋へ戻って子供達をそっと和室の布団に寝かせると コーヒーでも飲もうと言うことになった。 部屋のテーブルには豆のまま小分け包装されたコーヒーと 電動ミルとペーパーフィルターが備え付けられている。 人数分のコーヒー豆を電動ミルに入…
夕食後部屋でゆっくりとしているとそろそろ花火大会開演時間が迫ってきた。 窓から会場方向をのぞくと、既に倉庫前の花火の上がる方向は席取りがされていて、 町のあちこちからぞろぞろと地元の浴衣姿のお年寄りや若い人も集まってきている。 慎一は一足先に…
「ラビスタ函館ベイホテル」は、 外装といい内装といい、 函館という街の醸し出す大正ロマンそのままに、 赤煉瓦の温かみや開拓時代の面影が漂っている。 早めのホテルのチェックインは正解だった。 港まつりが目的の家族客でフロントは長蛇の列だったからだ…
地球岬公園を出発して、母恋中央通へ左折し母恋駅の方へ向かう。 突き当りの室蘭新道を左折し、 さる有名な地元政治家が作ったとされる白鳥新道(白鳥大橋)を越えて、 室蘭港口を横切って室蘭ICへ向かう。 白い雲を巻いた駒ヶ岳を背景に内浦湾(噴火湾)沿…
子供達の足元もしっかりとしてきたので遠出をしてみることにした。 函館市では例年「港祭り」が8月1日から5日間にわたって開催されると聞いた。 荒天の場合を除いて初日の8月1日に「大花火大会」が催されるらしい。 銀行の福利厚生の一環で勤続年数の長い社…
いよいよ子供達の1歳の誕生日が近づいてきた。 最近二人を抱っこするにもずっしりと重くなってきているようで 静香はもう二人を一緒には抱けなくなった。 慎一は何とか左右に抱っこしているが、 二人が動き出すと非常に危なくなってきている。 それでも二人…
いよいよ当日となった。 一番星が見えてくると舞台の照明の明るさが街を圧倒し始める。 『小樽商科大学 翔楽舞』チームは、大通8丁目会場での演舞のため待機している。 この大通公園南北パレード会場は、全長500mの南北の目抜き通りを使ったパレードで、圧倒…
ライラックが綺麗に咲き誇っている5月中旬の大通り公園。 例年通り『さっぽろライラックまつり』が開催されている。 多くの市民がゆっくりと散策し可愛い薄紫色の花を見つめている。 子供たちを遊ばせる芝生から見上げると 本州が梅雨とは思えないほどの青い…
夕食後、コーヒー又は紅茶と共に「イタリアンミラノシュー」を賞味した。 その俵型のシューの表面には真っ白のパウダーシュガーがかかっている。 油で揚げられた少しもっちりした薄い生地には、 カスタードクリームがたっぷりと詰められている。 そのドーナ…
全国的には梅雨と言われているが、この季節の北海道はさらりとした毎日が続く。 たまに雨が降ってもそれほど湿気は強くなく、 降り注ぐ日差しもそれほど強くなく、吹きわたる風が頬にやさしい。 同僚から「砂川スウィーツロード」の噂を聞き、 静香へ話すと…
ポプラファームでの舌の幸せを反芻しながら次の目的地へ向かう。 『ファーム富田』 ここは早春から晩春まで季節の多くの花が咲き誇る有名な園である。 広い園内に「花人の畑」「倖の畑」「彩りの畑」「トラディショナルラベンダー畑」「春の彩りの畑」「秋の…
北海道はこの時期になると街中が華やかになる。 大通公園はもとよりベランダの花壇も今が盛りと咲き誇る。 昨年は静香が身重だったので控えていたが、旭川富良野へのドライブを計画した。 それを聞きつけて美波がきている。 自宅のマンションから石山通へ出…