はっちゃんZのブログ小説

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36.子供達の誕生日

いよいよ子供達の1歳の誕生日が近づいてきた。

最近二人を抱っこするにもずっしりと重くなってきているようで

静香はもう二人を一緒には抱けなくなった。

慎一は何とか左右に抱っこしているが、

二人が動き出すと非常に危なくなってきている。

それでも二人を抱っこしなければいけない場合がある。

例えば一人を眠らせていて、もう一人も眠りかけている時に

静香が家事などの用事をしなければいけない場合、

そんな時、

慎一は、一人は胡坐をかいて膝に眠らせて、

もう一人は抱っこして眠らせるようにしている。

二人が起き掛けた場合などは、

胡坐を組んだ足をそっと細かく動かしながら

腕も同様にそっと動かせて眠らせている。

 

ただどんなに疲れていても二人の子供の寝顔を見ているだけで疲れがなくなるし

どんなに仕事でミスをして落ち込んでいても、

子供達の『アーアー、まんま、ブーブー』などの言葉を聞くと心が躍った。

子供達は常に二人でも話しあっているし、静香も二人へお話をしている。

笑うと小さな歯が見える。

そっとその真っ白い歯を指で触る。

しっかりとした感触の乳歯で慎一はなぜか感心している自分に気がついた。

静香が早くも歯磨きの準備をしている。

子供達にはゴム製歯ブラシを噛ませて習慣づけて

最後に虫歯にならないようにそっと子供用歯ブラシで丁寧に磨いている。

 

誕生日祝は、子供達の好きな料理を並べ、餅を使った伝統行事『一升餅』を行った。

なぜ一升餅というのかというと、人の一生と餅の一升をかけ、

『一生食べ物に困らないように』などの願いが込められているらしい。

二人には慎一の実家から送られてきた子供用リュックに餅を入れて背負わせた。

まだ小さい二人には「一升餅」が重いのか足元がふらついているがじっと立っている。

夫婦は神様に手を合わせて子供達の将来の幸せを祈った。

(つづく)