はっちゃんZのブログ小説

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80.遺族の恨みは晴れるのか6

事務所へ高価なネックレスを付けた女性のクライアントが訪れた。

【依頼内容】

依頼人氏名:白川 沙后様。

依頼人状況:主婦(弁護士の妻)

種類:行方探し

経過:娘(姫香)が昨夜から塾に行ってから家に帰ってこない。

   警察に依頼しているが一晩では動いてもらえない。

   一晩でも親に何も言わないで他人の家で泊まるような娘ではない。

   夫からは、『家の事はお前に責任があるからお前がやりなさい』と

   言われている。

   夫の知り合いでもある都倉警部から内緒で紹介されたとのことだった。

   塾の講師の話では、誰かから電話がかかってきて、ふらっと出て行ったらしい。

 

翔はRyokoへクライアントを調査させた。

クライアントの夫の職業は弁護士で、テレビでも有名な『人権派』と呼ばれていた。

どんな殺人犯も死刑にはさせないと豪語し、現在の死刑制度反対派の第一人者の一人だった。

『どんな脅しにも屈しない。死刑は人類の罪である』と声高に叫んでいた。

百合には事務所へしばらく帰らないことを伝えた。

連絡は常に取れるので困らなかったが、

百合の可愛い笑顔に会えないことが残念だった。

事務所のドアへ「本日閉店、しばらく休業します」の札を吊った。

 

その塾は、超進学塾として日本でも屈指のレベルで、

毎年、多くの塾生を誰もが認める名門大学へ入学させていた。

塾近辺を見張るも特に怪しい人も車も見えなかった。

塾へ車で送迎されている生徒も多く、歩く生徒は非常に少なかった。

クモ大助を使って夜中まで塾講師を見張ったが何も怪しいところはなかった。

 

専務の調査と並行して華田社長の行動も調査していった。

カフェグループ本社は六本木ヒルズの一角にあり、

このビル一帯は不夜城に近い状況で人目も多く監視もされている。

新月の小雨の闇にまぎれて迷彩ドローンでクモ大助をビル最上階へ運び、

ビル外壁の窓際へ移動させ社長室での盗聴を開始した。

(つづく)