翔は屋敷の庭から入って行った。
泥棒夫婦にわからないようにそっとつけていく。
泥棒夫婦は、下水道への道のレンガ積みをゆっくりと剥がしていく。
外道組の残党と合流するまで彼らは地下通路で待っている。
やがて残党組の10人が夫婦に近づいてきた。
翔は警部へ連絡した。
警部からも包囲網完成の連絡が入った。
彼らは、地下金庫の外側の空間に入っていく。
そして、下水道側の5名、金庫側に5名を配置した。
夫婦が壁の金属へバーナーを当てたところで翔が声を掛けた。
「そこまでだ。ここはもう警察に包囲されている。神妙にしろ」
男たちは半分慌てたが、あと半分は冷静に翔へ銃を撃ってくる。
マシンガンまで持っている。
「あいつ、組が潰れた時にいた奴だ。噂では超人らしいぜ」
「じゃあこれでどうだ」
翔に小型銃が効かないとわかると
対戦車ライフルやバズーカ砲まで出し始めた。
『これでは警察隊に死亡者出てしまう』と思い、
急いで一味へ向かった時、翔へ対戦車ライフルが発射された。
通常の弾丸は貫通させないバトルスーツではあるが、
対戦車ライフルは試していない。
果たして胸のプレート部分に強烈な衝撃があり
翔は大きく吹き飛ばされた。
胸部から全身へ衝撃と痺れが広がっていく。
「おう?これは効くぞ。もっと撃て、親分の敵じゃ」
体中に何発も対戦車ライフルの弾丸が当たって吹き飛ばされていく。
翔は、泥棒夫婦の作った地下道へ飛ばされた。
そこへバズーカ砲の弾丸が飛び込み爆発した。
「これがとどめじゃ。カチッ、カチッ、ゴロ、ゴロ・・・」
土煙の中へ手榴弾が複数個投げ込まれる。
翔は必死で屋敷から来た道へ這って逃げていく。
後ろから手榴弾の爆発の衝撃が襲ってきた。
『ひえー、婆さん、わしが悪かった許してくれー』と悲鳴が聞こえたが
通路が上下左右から崩れていく。
身体の上へ土が覆いかぶさってきて地下道がふさがって行く。
手榴弾の衝撃でヘルメットにある酸素供給機能が破壊された。
最後の手榴弾が間近で爆発し吹き飛ばされた。
翔からふっと意識が消えた。
(つづく)