はっちゃんZのブログ小説

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116.首都を防衛せよ3

自衛隊へ潜入している桐生一族の者からは逐次連絡があった。
自衛隊基地内では、一部の隊員が小隊単位で武装蜂起し

防衛省コントロール室を占領している。
どうやら蜂起した隊員の情報を精査すると
所属は別々で特に偏りは無かったが、
共通点として日本人以外のアジア人を妻に持つ隊員ばかりで、
彼らの表情を見ていると、
脂汗を流しながら嫌々従っているようであった。
「君達、こんな事をして許してくれ。どうしようもないのだ。許してくれ」
「隊長、許してください。お願いですから今は動かないで下さい」
それでも歯向かう隊員へは、手錠を掛けて部屋へ押し込めている。

幕僚長を始めとして、自衛隊の上級幹部は全員椅子へ貼りつけられている。
「君達の目的はなんだ。要求を言って欲しい」と幕僚長が話すも
「幕僚長、お願いですから、今は動かないで下さい。
 要求はこれのみです。そうしないと撃つこととなります。
 こんなことをしては、私の命はもうないものと思っています。
 お願いですから動かないで下さい」
彼ら全員の耳にはイヤフォンと
首には定期的に点滅している機械仕掛けのバンドが巻かれている。
総理大臣や防衛大臣から連絡が入るも、

「現在、全員、外出中です」と返事をしている。
総理へはNSCにて現在の状況が逐一報告されている。
日本国が現在動かすことのできる機動力は海上保安庁と警察隊のみだった。
ただ原発を含めて、

重要拠点への配備を含めると現在の警察力では十分ではない状況だった。

謀反を起こした自衛隊員の家族状況を調査すると、

家の中でじっとしているようで、
妻や子供の首にも隊員と同じ機械仕掛けのバンドが巻かれている。
何者か、もしくは組織の企てにより、家族を人質に取られているようだった。
日頃、国や国民のために全力を尽くしている彼らにとって
家族は唯一の安らぎであり、この世で一番大切な存在であった。
その存在を、その命を、盾に取られることは衝撃であった。
『優子情報』では、機械仕掛けのバンドの構造は、
頸動脈部分に小型爆弾が仕込まれており、
一つでも無理に外されると信号が発信され、
全てのバンドが爆発するようになっている可能性が高いとのことだった。

(つづく)