小説2:『武闘派!』なのに、実は超能力探偵の物語
あらすじ 桐生 翔(きりゅうしょう)は新宿の片隅で私立探偵業を営む。困った人を助けたいと思う正義感あふれる若い探偵が、この小さな探偵社を訪れるクライアントから持ち込まれるさまざまな依頼を真摯に解決していく。 ある日突然超能力(テレポーテーショ…
正体不明の敵から桐生・館林一族と共に首都を守り、 前橋館林家の学園問題も片づけた翔は、両一族の頭首から「前橋館林家再興」のお願いをされる。過去において一度は無くなった構想だったが、奇妙な縁に導かれ翔と百合が結婚することとなり、再びこの両一族…
卒業式前月の2月末に突然、校長・教頭・事務長が退職との噂で学園内は騒然となった。3月1か月は在校生に対しては各学年主任が代行、決め事は教師全員が合議制でする事とした。もちろんその席には理事長が常に同席している。また教員も4月から大きく人事…
新聞やテレビが東京都における犯罪集団の原因である「倉持組下部組織小銭組」「倉持組下部組織新宿小金組」壊滅を大仰おおげさに報道し、世論も警察の行動に拍手喝采であった。 校内においてもその報道と学園関係者の不適切な関係に対する噂などが拡がり始め…
校長、事務長、生徒会長、副会長の状況は調査できたが、優秀な生徒のライバル校への転校の原因がわからなかった。校長や事務長の会話からも誰が裏で糸を引いているのか判明しなかった。校長や事務長の聞き耳タマゴから明確になった「学園資金の横流し(上納…
ある夜、なぜか林の奥にある旧武道館から灯りが漏れてきている。クモ助1号からはすでに生徒会長冴木の外出報告はされている。翔は、以前の様にバトルスーツとヘルメットを被り気配を消して近づいて行った。上空では小型迷彩ドローンを先行させて、待ち伏せ…
2学期の期末試験も終わり、早朝稽古も再開されたようで、体育館や校庭では生徒で溢れている。翔は空手・柔道・剣道・弓道・合気道部などの武道部の稽古の様子を見た。生徒会長の冴木は「剣道部主将」、副会長の黒木は「弓道部主将」、書記の江藤は「柔道部…
激しい戦いから久しぶりに日常に戻った翔だったが、今度は何と隆一郎翁からの依頼があった。館林一族の事業の一つに「学校経営」があり、一族全体としては順調だが、東京都の北側にある私立高校「文武学園」のみ現在は経営不振となっている。その学校事業は…
大井埠頭の冷たい風が翔の頬を叩いた時、ふと我に返った。すでに大勢は決していたが、哀れにも機械化兵や獣人化兵は最初に命令されたまま、自ら戦闘を止めることはできないのだった。自衛隊も兵器などを復旧させ、従来の役目を果たしに埠頭へと集まっている…
スーパーコンピューター優子に戦況を聞くと 上陸阻止部隊は苦労しながらもなんとか阻止できているようだった。 このまま行けばうまく阻止できると考えられた。 潜水艦3隻は潜航が不可能とはなったが、 こちらへ向かっている大型船舶の戦力はそのままだった…
スーパーコンピューター優子から大型ミサイル発射の報告を受けた翔は、 バトルコンボイへ撃墜するように指示したが 大気圏外へ向かうミサイルは射程外で撃墜は不可能だった。 優子からの解析報告は、核ミサイルである可能性は50%であり、 楽観的にこのミサ…
同じ頃、自衛隊の官舎や部隊へ潜入していた一族より、 何とか家族全員の首飾りを爆発させることなく外すことができたと連絡があった。 反乱兵士の家族達も首のバンドの性能は知っており嘆いていた。 恒例になっている同郷の仲間のお誕生会が発端だった。 そ…
翔は破壊した大型ロボットの体部下面の扉より 敵兵数人が脱出してきた事をふと思い出した。 翔はとっさにロボット体部下面の扉部分の下へ跳んだ。 外部から鉄切ナイフで扉部分を切り裂いた。 ポロリと扉部分が地面へ落ちた。 そして体内へ『ショート君』と『…
『ドガーン』 『ドガーン』 突然、敵方の大砲が火を噴いた。 3姉妹はバトルコンボイ付近への被弾を防ぐため、 ジャンプしては盾や衝撃吸収網で叩き落している。 砲弾数が多いため漏らした場合も 弾性体で出来たコンボイを囲むトーチカで衝撃を吸収している…
日本国憲法には「緊急事態条項」がないため、 こうなると総理大臣も身動きが取れない。 『国民の命と財産を保護するための行動』を発動することができない。 憲法改正反対をしてきた勢力は、こういう事態を想定して、 憲法改正反対をしてきたと思える節があ…
クルーズ船『ドリーム号』は、相模湾を通過し浦賀水道を越えてきた。 そして大井埠頭の沖で突然停止した。 人工衛星の画像で確認しても 3隻の潜水艦は相模灘と大島との間の公海上に停泊しており、 南シナ海から来た大型船舶は浦賀水槽を越えて東京湾へ入ると…
自衛隊へ潜入している桐生一族の者からは逐次連絡があった。自衛隊基地内では、一部の隊員が小隊単位で武装蜂起し 防衛省コントロール室を占領している。どうやら蜂起した隊員の情報を精査すると所属は別々で特に偏りは無かったが、共通点として日本人以外の…
その時、目黒館林研究所の大型コンピューター『優子』から連絡が入った。 テレビ画面が優子の顔へ切り替わり、画像が映し出された。 連絡内容を要約すると ①東京湾沖(公海上)で潜水艦らしき姿が3隻浮かんでいること。 ②今回の『ドリーム号』は日本へ寄港…
今日は久々に急ぎの仕事も無く、 翔と百合はゆったりした気持ちでくつろいでいる。 いつものようにクライアントが来る前は、ソファに並んでテレビを見ている。 テレビでは、世界1周クルーズやアジアクルーズの番組が放映されている。 「翔さん、クルーズっ…
大陸から呼ばれた悪霊と対峙した遼真が 金色に輝く大刀をスラリと抜いて右手で持つと肩へ掛けた。 左手で印を結びながら魔物へ向かっていく。 「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」 と唱えながら魔物の身体を切り分けていく。 どうやら身体と魂の繋がって…
『ゴウーーーー』 ふたたび樹を渡る風の音が耳を打った時 樹の根元でカラカラになって倒れていた老人の死体の眼が『カッ』と開かれた。 「ドウヤラ ダマセ ナカッタ カ ナゼ ワカッタ」 とユラリと立ち上がる。 シワシワでカラカラの身体へ血液が流れ始めた…
五芒星から立ち上る瘴気が魔物の潜む大樹の一点へと集まっていく。黒いガス状のものが徐々に異形のモノとなっていく。とうとう魔物の本体が姿を現した。祠で見つけた抜け殻とは全く異なった姿だった。 たくさんの人間の恨みと僻みを喰らって育った魔物は化け…
「翔兄さん、待ってください」 現場に到着した遼真から声が掛けられた。 翔が攻撃を止めたその一瞬、 魔物は近くの木へと跳び梢へと移動すると 別の木へ跳んだのか見えなくなった。 その時、遼真と真美は夜目にも鮮やかな白衣と袴姿で現れた。 遼真の腰には…
太古の昔から現在まで日本という国には海を渡って多くの悪霊が攻めてきている。それが表の歴史としては、戦争や飢饉などで記録されている。歴史上で有名な事件では国が定まる前は「八岐大蛇」であり、日本国が擁立してからは「元寇」であった。記録には残っ…
遼真の頭には全ての式神からの映像情報が入ってきたが、あまりに多いため全ての式神の紙片を手の平へ挟み、広げた地図へと飛ばす。おのおのの式神達が地図上にゆらゆらと立っている。細くなった足元がビル名などを知らせている。魔物の被害者と魔物の場所が…
高尾山を出発する時、遼真は目黒にある実家へ 本体の抜け殻を入手した旨と祈祷により潜伏場所を探る予定の連絡をした。 目黒の実家は、皇居の裏鬼門の方向になり江戸が出来る前から関東の守護として 安倍清明系列の京都と関係の深い由緒ある神社だった。 す…
遼真は木の根元で瞑目して座禅を組んだ。 しばらくして 彼の金色の縁取りのあるダークグレイの瞳が開かれた。 「兄さん、そこの右側の木の上の方を見て下さい。死体があるはずです」 木を見上げると白く長い塊がぶら下がっている。 急いで木を登り、ロープで…
魔物 ? 悪い神様 ? 封印 ? 今まで幼い兄妹からの依頼で解決した事件で不思議な事はたまにはあったが 今回の依頼は今までとは次元の違い、いや相手にする世界の違いを感じた翔だった。 その魔物に対しての情報は遼真の方からもたらされた。 魔物の本体はま…
今、テレビで話題になっているのは『日本版スパイダーマン』だった。 目撃した人の話では、ビルからビルへと軽々と移動して 『まるで映画のスパイダーマンみたいだった』と証言したので それに飛びついたマスコミからは 『スパイダーマンあらわる』と報道さ…
浅間別荘と葉山邸の特訓から新宿の事務所へ戻った二人は、 いつものようにソファに並んでテレビでニュースを見ている。 もう街は晩秋の装いで公園の木々の葉もちらほらと落ち始めている。 今日も都内で行方不明者の出ている事件が大きく報道されている。 そ…